ある程度物件の目途がたってくると、その物件を借りる際にかかる初期費用が気になる方も多いでしょう。
実際に、お客様から「この物件の初期費用はいくら位ですか」と質問を頂くケースも多く見受けられます。
都内の物件の場合、ざっくり言うと賃料の5~6か月分位が初期費用として掛かってきます。
その理由もふまえ、どのような費用がかかるのか、交渉は可能なのか、を書いていきます。
是非とも、ご参考にして頂けると幸いです。
敷金
敷金とは、賃貸借契約上の債務を担保する為、借主から貸主へ支払われるお金のことです。
例えば、家賃の不払いや退去後の原状回復費用等に敷金を充当されるケースもあります。
要するに、何かあった時の為に貸主が預かっておくお金です。
いくらが相場?
特に明確な取り決めはなく、物件によって異なりますが、都内では1~2か月が多く見受けられます。
おおよそ、部屋の広さや賃料に応じて何か月かを設定していきます。
私自身がよくご提案する考えとして、基本的には1か月、70~80平米以上だと2か月の場合も、ペット飼育の場合は+1か月、というお話をしています。
理由として、都内では「借主は退去時のクリーニング費用を負担する」という取り決めが多く、広ければ広いほどクリーニング費用も高くなり、敷金1か月では心もとない場合もあるからです。
また、ペット飼育後の原状回復費用は意外と高額になるケースもあり、追加して預かっていた方が後々楽に敷金精算が出来たりもします。
中には、敷金0という物件もありますが、入居時か退去時に別途クリーニング費用等を徴収する場合もあります。
交渉できる?
最初から敷金が2か月以上の物件であれば、交渉可能な場合もあります。
ただ、あまりオススメはできません。
敷金はあくまで預り金であり担保である為、退去して敷金精算を行えば返金されるお金でもあります。
貸主側としても、何かあった時の担保が減ってしまうので、不安に感じる方もいるかもしれませんので、、
礼金
礼金とは契約時に借主から貸主へ支払われるお金となり、敷金と違い返金はされません。
地方によって礼金の仕組みは異なりますが、借りる時のお礼金という慣習の名残とも言われています。
いくらが相場?
都内では1か月が相場となり、0か月の物件も見受けられます。
中には1.5か月や2か月という物件もありますが、余程いい物件でない限り選択肢にも入らないかもしれません。
例えば、新築物件に礼金2か月というものも見受けられ、意図としては新築という最大のメリットを売りにし、礼金2か月でも借り手がつくだろう、という思惑が感じ取れます。
交渉できる?
いくらかの要望を言ってみる価値はあるかもしれませんが、成功率は高くないと思います。
礼金は貸主の収入源にもなるので、貸主としてはあるに越したことがないお金です。
ただ、ずっと募集情報が出ていて決まりが悪そうな物件であれば、貸主としては礼金を下げてでも入居して頂きたい気持ちが優先するかもしれません。
頼りになりそうな不動産屋であれば、お願いしてみるのもいいでしょう。
仲介手数料
仲介手数料とは、賃貸物件の契約にあたり、貸主と借主の仲介を行う際の成功報酬となります。
不動産屋に部屋探しをお願いする場合、ほぼ必須の費用になってきます。
いくらが相場?
まず、宅建業法という不動産業界の法律で、賃貸の仲介手数料は貸主と借主から合計1か月分+税までならOKという決まりがあります。
よって、普通に解釈をするのであれば、借主は0.5か月+税の支払いでいい、ということになります。
ただ、多数の不動産屋は借主から1か月分+税の仲介手数料を頂いている場合がかなり見受けられます。
これは宅建業法として、双方(貸主と借主)が承諾していれば、片方から最大1か月分+税はOK、という意味も含まれる為、不動産屋が違法なのかというとそうでもありません。
しかしながら、仲介手数料は安いに越したことがなく、不動産屋同士の手数料競争により、0.5か月や0か月といった会社も比較的多くなってきているのではないでしょうか。
交渉できる?
不動産屋から仲介手数料1か月+税と提示されているのであれば、比較的交渉は可能かもしれません。
なぜなら、借主が承諾していなければ1か月+税はもらえないからです。
試しに、「仲介手数料って0.5か月分+税じゃないんですか?」と言ってみると、すんなり(しぶしぶ)対応してくれる不動産屋もいると思います。
(半分くらいは嫌な顔をされるかもしれませんが、、)
また、物件によっては更なる交渉も可能だったりしますが、程ほどにした方がお互い気持ちのいい契約ができるのではないかと。
初回保証料
初回保証料とは、借主が保証会社を利用する際、保証会社に支払う初回費用になります。
近年では、賃貸借契約時に連帯保証人をたてず、保証会社という賃料保証等を行っている会社を利用するケースが増えてきました。
保証会社の利用は貸主にとってのメリットが大きいですが、借主にとっても誰かに連帯保証人をお願いする手間が省ける為、かなりの方が利用されているのではないでしょうか。
(連帯保証人をお願いする、という言葉自体が重いですよね、、)
いくらが相場?
保証会社によって異なりますが、おおよそ総賃料の40~60%が多く見られる数値かと思います。
ここで「総賃料」と記載したのには理由があり、賃料や管理費はもちろんですが駐車場等の付帯設備費用も含まれる、ということです。
中には、保証契約上の連帯保証人をたてると初回保証料が安くなる、といったプランを用意している保証会社もあります。
(賃貸借契約と保証契約は別物ですので、ご注意ください)
また、その他月額保証料(総賃料1%程)や年額保証料(1~1.5万円位)といったランニングコストがかかるケースもあるので、よく確認された方がよいでしょう。
交渉できる?
保証会社によって%が既に決められているので、初回保証料の交渉は難しいでしょう。
いち不動産屋にどうこう言ったところで、保証会社の%を変えることはできませんので。
ただ、保証会社を利用せず、自身で連帯保証人をたてることが可能な物件であれば、初回保証料は丸々カットが可能です。
募集条件には「保証会社必須」の文字がよく見受けられるようになりましたが、さり気なく交渉をしてみるといいかもしれません。
火災保険料
火災保険料とは、入居にあたって借主が自身の家具等につける保険を指します。
家具だけではなく、借家人賠償や個人賠償や補修費用等の項目もあり、借主が何かやらかしてしまった際の保険全般です。
もちろん、貸主も火災保険には加入している場合がほとんどかと思います。
イメージとして、貸主は物件という箱に対して保険をかけ、借主は自身と部屋内の物に対して保険をかける、といった感じです。
いくらが相場?
2年間で1.5~3万円位がよく見られる金額かと思います。
もちろん、どれだけ保証を手厚くするかによって、もう少し高くなったりもします。
また、地震保険も付加すると必然的に高くなります。
もしくは、年額ではなく、毎月数百円の月額支払い型もあります。
交渉できる?
火災保険は基本的に必須なので、加入しないという選択肢は選べません。
しいて言うならば、不動産屋の指定保険が高い場合、自分で探しや別保険に加入する、ということも可能なケースがあります。
ただ、探す手間等を考えると、素直に提示された保険に加入した方がいいと思います。
前家賃
前家賃とは、前もって支払う賃料を指します。
いくらが相場?
おおよそ1~2か月分が多く見受けらます。
例えば2か月分の場合、2月1日から契約開始(賃料発生)だとすると、2月分と3月分を初期費用として支払うことになります。
もしくは2月15日から契約開始とすると、2月15~28日までの日割り賃料と3月分を支払うことになります。
(基本的には日割り計算での対応となる不動産屋が多いかと)
交渉できる?
あまりオススメはできませんが、可能なケースもあります。
単純に最初の負担額を減らす方法として、2か月分(仮に2月と3月分)→1か月分(仮に2月分のみ)という交渉も一つあるかと思います。
この場合、結局は将来的に3月分の賃料も支払うことになる為、現時点で手持ちのお金が無い方向けの方法です。
あるいは、契約開始日を月末に近づければ近づけるほど日割り賃料が安くなります。
もしくは、フリーレント(賃料免除)の交渉をしてみる、という方法もあります。
これは純粋な減額交渉となり、〇日分の賃料を免除してください、というものです。
例えば、2月15日契約開始、2月28日までフリーレントにできると、2月15日から部屋に住むことができますが、賃料発生は3月1日からになります。
正直なところ、事務所や店舗の賃貸ではよく行われる交渉になりますが、居住用ですとあまり多くはない交渉です。
その他
その他にもかかる費用はいくつかあり、例として次の通りです。
どんなものがある?いくらぐらい?
- 鍵交換費用
- 消毒費用
- 24時間サポート料
- 事務手数料 などなど
おおよそ、鍵交換は2万円前後(鍵の種類によりますが)、消毒費用は1~2万円程、24時間サポート費用は年額1万円程、事務手数料は0.25~0.5か月位でしょうか。
それぞれの意味として、鍵交換は言葉のまま、消毒費用は除菌作業(バルサンみたいなもの)を行い、24時間サポートは修理対応等の連絡窓口利用を有料化しているもの、事務手数料は契約書作成費用や手続き費用のこと、です。
交渉できる?
必須の項目も多いですが、軽い気持ちで「何か削れたりしますか」と相談してみるのもいいでしょう。
他の初期費用項目に比べると金額は小さいですが、1万円や2万円でも交渉できると結構嬉しいものです。
まとめ
- 敷金礼金は貸主さん次第だが、自身の印象が悪くなる可能性もあり
- 仲介手数料とその他は比較的交渉余地があるかも
- 交渉はほどほどに
結局、交渉は言わなければ始まらない事柄です。
ただ、言ってしまうと誰かしらとの関係性に支障をきたす場合もあります。
相手方の雰囲気を伺いつつ、やんわりと話してみるのが一番かもしれません。
それでは。
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