賃貸契約における名義変更は可能?手続きの流れや費用、様々なケースをプロが解説!

賃貸物件へ住む際、まずは貸主さんと借主さんとで賃貸借契約を結んだ後、鍵渡しが行われ入居をします。
入居中の借主さんにとって、就職・退職・転職・結婚・離婚といった様々な状況の変化が訪れる可能性は否めません。

状況の変化に伴い、場合によっては借主さんの契約の名義変更も必要になってきます。

今回はその名義変更について具体例を挙げながらご説明していきます。

こんな方にオススメ!
  • 近々、就職や転職を考えていて、借り上げ社宅制度を利用予定
  • 結婚や離婚によって、契約名義の切り替えを検討している
  • 名義変更手続き中だが、一般的な流れや費用が分からない
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賃貸太郎

決して難しい話ではないので、是非とも参考にして頂けると幸いです。

 

 

名義変更とは?

ここで言う「名義」とは、契約書に記載された契約者を指し、その契約者を変更する行為が名義変更です。

契約者の名前が変わるだけだと思っていても、実際は新たな名義人との一からの契約手続きを行ったり、それに伴う費用が発生したりすることも多いです。

また、当事者は名義変更が必要だと思っているケースでも、実際は名義変更が必要のないケースもあったりします。

まずは、どのような時に名義変更が必要になるのかをご説明していきます。

名義変更が必要となるケース

名義は大きく分けて2種類あり、「個人名義」か「法人名義」かです。

個人名義は一個人が契約者となるパターン、法人名義は一企業が契約者となり主にその社員等が入居をするパターンになります。

変更前の名義が2パターン × 変更後の名義が2パターン = 計4パターンのケースが考えられ、次に各パターンの例を挙げていきます。

個人名義→個人名義のパターン

まずは具体例を3つご紹介します。

個人→個人()内が具体例
  • 夫→妻へ(結婚や離婚)
  • 親→子へ(就職や名義貸し)
  • 兄→弟へ(独立や家賃補助の兼ね合い)

例えば、夫名義で契約をし、夫婦と子供の計3名が入居していたとします。
その後、夫婦が離婚することとなったものの、家には引き続き妻と子が住むことになりました。
夫名義での契約は継続せず、妻に契約を引き継ぎたい場合、名義変更の手続きが必要になります。

もう一つの例として、大学へ通う子供の為に親名義で契約した部屋があるとします。
子供が社会人になり、引き続き今の家から通勤をすることとなりました。
子が社会人になったということもあり、親名義ではなく子名義で契約を引き継ぎたい場合、名義変更の手続きが必要になります。

 

個人名義→法人名義のパターン

個人→法人は主に次の事例が考えられます。

  • 就職や転職にあたり、個人で契約していた部屋を勤め先の法人名義に切り替え、家賃補助等を受ける
  • 自営業の会社設立に伴い、自身ではなく法人名義へ切り替えることによって、税金対策を行う

法人名義→個人名義のパターン

法人→個人は主に次の事例が考えられます。

  • 退職に伴い、法人で契約していた部屋を入居者個人へ切り替え、引き続き住み続ける
  • 社宅規定により、法人名義での契約継続ができなくなったので個人へ切り替える

法人名義→法人名義のパターン

法人→法人は主に次の事例が考えられます。

  • 転職(出向)に伴い、前職の法人名義から転職先(出向先)の法人名義へ切り替える
  • 勤め先の商号変更や合併に伴い、法人自体の名義が切り替わる

名義変更が必要のないケース、できないケース

名義変更が必要になるケースもあれば、必要のないケースもあります。

例えば、〇〇花子さんが結婚して△△花子さんになる等の氏名変更のパターンです。

この場合、契約者自体は同一人物なので、名義変更が不要になるケースが多く見受けられます。変更が必要か気になるようであれば、オーナーさんか不動産屋へ聞いてみるといいでしょう。

また、そもそも名義変更ができないケースもあります。

例えば、〇〇さんが1人で住んでいた部屋を××さんへ変更する、という契約当事者と入居者自体が全く別の人に変わってしまうケースです。

この場合は名義変更ではなく、〇〇さんが部屋を解約して××さんが新たに契約を取り交わす、という新規契約になってきます。

手続きの流れ、必要書類、費用

名義変更における手続きの流れや必要書類や費用をご説明していきます。

 

手続きの流れ

流れといっても、名義変更をしたい旨を貸主さんか不動産屋に伝え新たな契約書類を作成してもらい署名捺印を行う、というものです。

基本的には新規契約時と同じような流れになるでしょう。
不動産会社によりますが、旧名義での解約→新名義での契約、といったような便宜上の手続きを行うケースもあります。
また、場合によっては改めて保証会社や貸主さんの審査を行うケースもあるので、注意が必要です。

申告から手続き完了までの期間は一概に言えませんが、余裕をもって1~2か月くらいの期間を見ておくとゆとりを持った手続きができると思います。
(数日でできる手続きではない場合が多いです)

必要書類

その際の必要書類はおおよそ次の通りです。

個人名義へ切り替える場合
  • 身分証明書(免許証やパスポート等)
  • 収入証明書(源泉徴収票や確定申告書等)
  • 在籍証明書(社員証や保険証等)
法人名義へ切り替える場合
  • 法人の会社謄本、会社概要資料
  • 法人の決算書
連帯保証人も切り替える場合
  • 連帯保証人の身分証明書(免許証やパスポート等)
  • 連帯保証人の収入証明書(源泉徴収票や確定申告書等)
  • 連帯保証人の在籍証明書(社員証や保険証等)
  • 連帯保証人の印鑑証明書

名義を切り替えるだけだと思っていても、申込時と同様の必要書類を求められる場合が多いです。
貸主さんとしても、新たな借主名義となる人(会社)の情報は確認しなくてはなりませんので。

費用

名義変更時の費用に関しては、正直なところオーナーさんや不動産屋次第です。
数千円~数万円の事務手数料のみ、という場合もあれば、賃料の1~2か月分を要する場合もあります。
意外にも費用がかかる場合もあるので、必ず事前に確認をしましょう。

敷金や原状回復費用の扱い

名義変更を行った場合、変更に伴っての敷金や原状回復費用の扱いはどうなるのでしょうか。

敷金に関しては次の2パターンが考えられます。

  • 旧名義人から新名義へ敷金は承継
  • 一旦、旧名義人へ敷金を返還、新名義人から新たに敷金を預かり入れる

次に、最終的に退去する際の原状回復費用はどうでしょうか。
基本的には、旧名義人~新名義人が住んでいた期間を通して、まとめて新名義人が原状回復費用を負担をします。

理由として、名義が変わったとしても入居者自体は同一(もしくは一部変更)なことが多く、名義変更時は引き続き居住中の場合がほとんどの為、その時点での原状回復費用の精算はほぼ不可能となるからです。

よって、敷金は承継もしくは返還→新たに預け入れ、原状回復費用は新名義人が負担、という流れになります。

相談先は物件管理会社か貸主さんへ

色々と事例を挙げてきましたが、いざ当事者となると名義変更が必要か否かの判断は難しいです。

少しでも迷ったら、まずは物件を管理している不動産屋か貸主さんに相談をしてみるといいでしょう。
その時々に合ったアドバイスをしてくれると思います。

どこに連絡をしていいか分からない時は、重要事項説明書に「管理委託先」の連絡先が書いてあると思いますので、一旦はその番号に連絡をしてもいいでしょう。

貸主の名義が変更になるケースもあり

今までの内容は主に借主さんが名義変更を行うケースを書いてきました。
ただ、名義変更は借主さんだけではなく、貸主さんが行うケースもあります。

例えば、オーナーチェンジといって貸主さん(所有者さん)が物件を売却した場合であったり、貸主さんがお亡くなりになり相続が発生した場合等です。

その場合、基本的には新貸主さん(新所有者さん)であったり、相続先の方から何かしらの通知が来るはずです。
あわせて、賃料の振込先口座が変更になることがほとんどなので、新振込先口座の案内を行ったりもします。

貸主の名義変更であれば、書類の取り交わしが不要だったりするので、先方からの案内に従うのが無難かもしれません。

その他注意点

名義変更に関わる注意点として、次の3点が挙げられます。
意外と重要度の高いものもあるので、お気をつけ下さい。

火災保険やインフラの名義変更も忘れずに

部屋の契約名義を変更したとしても、その他の名義が自動的に変更されるものではありません。
例えば、火災保険や各種インフラ(電気、水道、ガス)やインターネット等です。

何を変更して、何を変更しないのか、予めリストアップしておくといいでしょう。

契約書の内容は承継されることがほとんど

契約名義が変わっても、契約の内容自体は変わらないことがほとんどです。

手続き時の相談次第ではありますが、旧名義人が契約した内容に何かしら不利なことや違反時のペナルティが書いてあっても、新名義人はそれを引き継ぐ場合が多く見受けられます。
そもそも、近年の賃貸借契約では借主に不利な内容はほとんど見受けられなくなりましたが、、

事前に旧名義人の契約条件・内容を確認しておくといいかもしれません。

名義変更をしていないことがばれる可能性とケースも有り

名義変更をしなくてはいけない状況にもかかわらず、名義変更をしていないと契約違反になり得ます。

例えば、勝手に入居者が入れ替わっていたり、転貸のような形式になっていた場合です。ばれないと思っていても、近隣住民の方やふとした所から判明することもあります。

最悪の場合、契約違反によって退去を求められたり、違約金等の請求をされることもあります。
トラブルを避ける為にも、何かあればまずは相談する、ということを心掛けましょう。

まとめ

  • 名義変更が必要なケースとそうでないケースがある
  • 名義変更手続きにあたって、新たな書類や費用が必要になる
  • 名義変更をしていないと契約違反になるケースがある

不動産屋や貸主さんによっては、名義変更での契約手続きは行わず、覚書で簡易的に済ませてしまう場合もあるかもしれません。

貸主さんと借主さんが合意をしていれば、契約書であろうと覚書であろうとそれぞれのやり方次第です。

何か不安なことがあるようであれば、その時々で話し合いながら解決をしていきましょう。

それでは。

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