賃貸の物件探しや契約を行う際、「残置物」という言葉を耳にすることもあるかと思います。
言葉的になんとなく残っている物ということは分かりますが、その言葉に含まれる本当の意味まで理解されている方は少ないかもしれません。
「残置物」をよく知っておかないと、入居中や退去時にトラブルにもなり得ます。
今回は「残置物」という言葉の意味から取り扱いまで、具体的に書いていきたいと思います。
是非とも参考にして頂けると幸いです。
「残置物」とは
賃貸契約上の「残置物」とは、主に機能保証が無い設備を指します。
機能保証というのは、室内設備における機能の保証のことです。
具体的には、経年劣化や自然損耗で設備の不具合や故障が生じた際、貸主さんが修理や交換を行う設備の場合は機能保証有り、貸主さんが修理等を行わない設備の場合は機能保証無し、となります。
要するに、設備機器が寿命等で壊れた際に貸主さんが保証してくれるか否かの取り決めを言います。
(貸主さんや前入居者さんが単に残していった物、というようなニュアンスもあります)
機能保証が無いということは、何かあった際には自分自身で修理や交換を行わなくてはいけない、ということです。
ちなみに機能保証が有る設備を借主さんが壊してしまった場合、当然借主さん負担で修理や交換をしなくてはいけません。
また、貸主さんが残置物を設定する意図としては、主に次の2点が考えられます。
- 修理費用等を極力負担したくない
- いらない物なので使うも処分するも自由にして欲しい
軽微な物であれば借主さんの負担は少ないですが、高価な設備だと少し悩ましいかもしれません。
残置物はどこに書かれているか
残置物は主に次の箇所に記載があったりします。
- 募集図面(きちんとした不動産屋であれば)
- 契約書や重要事項説明書の特約部分
- 室内の設備表(用意があれば)
逆に、これらの書類に何も書かれていないようであれば、基本的に機能保証有りだと認識してもいいかもしれません。
機能保証が無いと借主さんの負担が増えるので、契約時までには基本的に借主さんへ通知しておかないといけないものだと思いますので。
どのような残置物が多いか
残置物として比較的よく見受けられる設備はおおよそ次の通りです。
- カーテン
- 照明器具
- エアコン
- ウォシュレット
- 食洗器
だいたいは無くても困らないものや比較的安価なものが多いかもしれません。
(エアコンや食洗器は地味に費用がかかりますが)
また、場合によっては次の物も残置物となっているケースも見受けられます。
- 床暖房(故障の際、実質的に直しようが無い為)
- ディスポーザー
- テレビアンテナ
- その他家具や家電類、棚など
正直なところ、必要最低限のもの以外は最初から無い方が色々と楽だったりします。
故障の際や、撤去・処分の際はどうする?
さて、室内に何かしらの残置物があり、それが故障した際はどうすればいいのでしょうか。
答えは自分自身で「直す」か「交換する」か、貸主さんに「撤去・処分」してもらう、です。
残置物を継続して利用したい場合、基本的には自分自身で何とかするしかありません。
なぜなら、貸主さんは機能の保証をしない設備だからです。
また、故障した残置物が不要となった物であれば、貸主さんに撤去や処分を依頼してもいいでしょう。
理由として、東京都の紛争防止条例のガイドラインによると、残置物の処分費用は貸主さん負担、という原則が記載されています。
よって、処分や撤去費用は貸主さん負担とすることがほぼほぼです。
(さすがに、撤去費用も借主さん負担となると、それだったら最初から残置物無しの状態で入居をした方が自由度が高いと思いますので、、)
撤去・処分の費用負担についても、契約書等に記載があるかと思いますので、何かしらのタイミングでご確認頂いた方がいいかもしれません。
よくあるトラブル
私の経験上、残置物にまつわるよくあるトラブルを1つご紹介致します。
「ある設備につき、貸主さんは残置物という認識だったが、借主さんは全て機能保証有りという認識だった」
例えば、エアコンが故障した際、借主さんは貸主さん(もしくは不動産屋など)へ直して欲しい、という連絡をすると思います。
ただ、貸主さんとしてはエアコンは残置物という認識の為、貸主さんが直す筋合いはないし借主さん自身でどうかしてほしい、という意向になるはずです。
何かしらの書面に書かれていればいいのですが、意外と書かれていなかったり、不動産屋が伝え忘れていたりすることもあります。
(不動産屋の非であれば、不動産屋の責任なのですが、、)
貸主さんと借主さんとの取り決めは契約書が全てと言っても過言ではありません。
契約時の確認が入居中の自分を守ることにもつながります。
まとめ
- 残置物は機能保証が無い設備
- 軽微なものなら問題ないが、まれに高価な設備が残置物となっているケースもあり
- 事前に契約書等をよく確認しましょう
まれに、費用負担をしたくないので全て残置物がいい、という貸主さんもいらっしゃいます。
貸主さんの気持ちも分かりますが、そんな時は次のようなお話をしています。
「仮に全て残置物とすると、借主さんが全て壊した状態で退去した場合でも、借主さんに費用負担を求められないかもしれません」
残置物は誰も機能保証を行わない設備なので、貸主さんが費用を負担しないのに、借主さんにだけ費用負担を求めることは当然できません。
残置物の設定に関しても、今一度よく検討された方がいいかもしれません。
それでは。
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