【契約前に必見】賃貸契約における「重要事項説明書」の読み方を徹底解説!

仲介業者が絡んだ賃貸物件の契約を行う際、契約書を取り交わす前に「重要事項説明書」の説明が必ず行われます。

不動産業者間では「重説」と略されることが多く見受けられます。

一般の方からすると、難しい言葉や文字が並んだ書類かもしれませんが、言葉通り重要なことがかなり書いてあります。

今回は重要事項説明書に書いてある主な内容や、見るべきポイントを書いていきます。

是非とも参考にして頂けると幸いです。

重要事項説明書に書いてある内容

基本的に重要事項説明書に書かれている内容は次の通りです。

物件の表示(物件住所や広さ等)

主に次のことが書かれています。

  • 所在地
  • 名称
  • 面積や間取り
  • 種類
  • 築年数
  • 構造や規模
  • 敷地の権利
  • 貸主や代理人の情報

基本的には建物の情報が書かれており、そうそう間違っていることもないので流し読み程度でいいかと思います。

貸主さんが誰なのかくらいは見ておいてもいいでしょう。

登記記録に記録された事項:建物(建物謄本の情報)

建物謄本に書いてある情報が記載されています。

謄本に登録されている建物所有者が誰なのか、その所有者はローンを組んで購入しているのか(抵当権に関する内容)、という内容です。

ひとつ言えることとして、貸主=所有者ということも多いですが、必ずしも貸主=所有者ではなく貸主≠所有者という物件も見受けられます。

例えば、個人が所有している物件を、その人が運営している法人名義で貸し出す場合や、所有者である高齢の親の代わりに子供が貸し出す場合などです。

ただ、所有者と貸主の関係性がしっかり分かっていれば、大した内容ではありませんが。

法令等による制限、建築物に関する事項等

少し難しい言葉になりますが、ざっくり言うと契約する物件が都市開発等で何かしらの制限を受けるか否か、ということです。

正直ところ、都心部だと該当する地域はほとんど見受けられません。

売買物件だと、買った物件を再建築しようとしても制限があり希望に沿わなかったりするかもしれませんが、賃貸物件では余程のことが無い限り大きな影響はないかもしれません。

飲用水、電気およびガスの供給ならびに排水施設の整備状況、その他設備の有無(インフラや室内設備の概要)

インフラに関して言えば、指定の電力会社があるか(一括受電か否か)、ガスは都市ガスかプロパンか、などの記載があります。

その他、室内設備にはどのようなものがあるか、の記載があります。

例えば、オートロックや宅配ボックスやインターホンやエアコンや床暖房等々です。

建物建築の工事完了時の形状、構造等(未完成物件向け)

基本的に未完成物件向けの項目なので、完成物件の場合は説明を省略と記載があるかと思います。

未完成物件の場合が完成時にどのような建物になるのか、という説明をしなくてはいけません。

ただ、文字で説明されたとしても、完成時のイメージはあまり湧かないかもしれませんが。

当該建物が造成宅地防災区域か否か

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、家を建てる際に注意して工事を行った方がいい区域、という区域のことです。

都内だと世田谷区と板橋区の一部が指定されているようですが、あまり多くはないと思います。

東京都都市整備局→https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/takuzou/index.html

当該建物が土砂災害警戒区域か否か

文字通り、土砂災害の警戒が必要な区域か否かという内容です。

都内でも意外と指定されている区域があることに驚いた覚えがあります。

そこまでたくさんの地域ではないものの、川沿いの物件などは気を付けた方がいいかもしれません。

土砂災害警戒区域マップ→https://www2.sabomap.jp/tokyo/

当該建物が津波災害警戒区域か否か

都内では津波災害警戒区域に登録されている地域は無く、他県ではちらほら見受けられます。

津波災害警戒区域の指定状況→https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/content/001370459.pdf

水害ハザードマップにおける当該建物の所在地

2020年8月に記載義務が追加された項目になります。

建物の所在地が、各市区町村が定める水害ハザードマップに位置するか否かを説明する項目です。

自身でもインターネットで「〇〇区、ハザードマップ」と検索すればすぐ見られる内容になります。

主に川沿いは洪水等の注意が必要になりますが、意外と川から離れていても内水(マンホールからの溢れ水等)の可能性が多かったりするようです。

石綿使用調査の有無

石綿とはアスベストのことです。

建物にアスベストが使用されているか否かの調査結果があるか、という項目です。

築20~30年くらいの建物であれば、そもそも石綿を使用してはいけない前提で建築されているので、そうそう石綿は検出されないと思います。

この項目の重要な点は、「石綿が使用されているかの有無」ではなく「石綿使用の調査の有無」ということです。

要するに、石綿を使用している建物であっても、調査を行っていなければ「無」と書かれています。

逆に、石綿を使用していない建物であっても、調査を行っていれば「有」となっています。

ただ、調査が「有」となっていれば、その資料の照会先が書かれていたり、重要事項説明書自体に調査結果が添付されたりしているので、問題の有無も一目瞭然だと思いますが。

仮に石綿が使用されている建物であっても、石綿自体は建物の解体時等に飛散して人体に影響を及ぼすものなので、普通に生活をしている分にはそこまで影響はないかもしれません。

耐震診断の内容

文字通り、耐震診断がされているか否かが書かれている項目になります。

石綿同様に耐震診断の調査の有無なので、「有」だから安全とか「無」だと心配とかは一概に言えません。

1981年に耐震基準が変わったため、それ以降の建物であれば比較的強度のある建物と言えるかもしれません。

ただ、新築年月日が1981年の建物は、それ以前に建築申請を行っている為、1981年以前の基準によって建てられた建物ということはお忘れなく。

耐震診断を行っていた場合、「建物の状況がどうなのか」と「どのような対策が必要か」という結果をよく確認した方がいいと思います。

建物の耐震強度に問題が無ければ安心できますし、強度に問題があったとしてもそれなりの補強工事を行っている(行う予定)であれば安心できるかもしれません。

しかしながら、旧耐震の建物であっても、大きな地震ですぐ壊れてしまうか、というとそうでもないとは思っています。

建物状況調査の結果の概要

こちらは2018年に追加された項目になります。

専門の第三者機関によって、建物の劣化状況等の調査が行われているか否かと記載した項目です。

その調査を貸主か借主か管理会社等が行ったか、という内容になります。

ただ、第三者機関への調査依頼は当然ながら費用がかかり、わざわざお金をかけて所有者等が調査を行う、という建物は多くは見受けられません。

また、分譲マンションなどで調査を行ったとしても、専有部分(各部屋内)の調査は現実的ではなく、だいたいは共用部分(廊下とかエントランス)を目視で確認する、といったものになるようです。

経験上、ほとんどの物件で「記録無し」となっています。

賃貸条件に関する事項

基本的に賃料や敷金等の賃貸条件が書かれています。

条件が間違っていることはそうそうないので、さらっと読むだけでもいいかもしれません。

ただ、申込時に聞いていなかった費用が書かれていることもあるため、契約前に確認ができるといいと思います。

契約の解除に関する事項

契約の解除に関する事項では、主に次の3点の記載があります。

  • 契約締結から契約開始までの解除の場合(借主さん向け)
  • 入居期間中の解約予告期間(借主さん向け)
  • 貸主さんからの契約解除(貸主さん向け)

例えば、4月1日に契約手続きを行い、4月20日から契約開始だったとします。

契約開始までの解除とは4月19日までに解約を行う場合を指し、だいたいは違約金1か月との記載があったりします。
(契約をしたが、引き渡し前に解約するという場合です)

入居期間中の解約は一般的なもので、解約をする時は1か月前に通知してください、といった内容が書いてあります。

また、貸主からの解除というと身構えるかもしれませんが、相当な理由が無い限り貸主さん「契約を解除します」という申し出は通らないことになっています。(普通賃貸借の場合)

だからといって、借主さん側が滅茶苦茶やっていい訳ではないので気を付けて暮らしましょう。

損害賠償額の予定または違約金に関する事項

言葉通りに、損害賠償や違約金がどのような定めになっているか、という内容です。

ただ、借主さんが何かしらの違反をしない限りはこの項目に該当することはないと思います。

どんな契約でも何かしらのペナルティはあるもので、それに該当しないようにきちんと過ごしましょう、ということです。

支払金または預り金の保全措置の概要

不動産屋がお客さんから預かっているお金があったとして、不動産屋が倒産してしまうとその預り金が無くなってしまってはお客さんが可哀想ですよね。

そんな時の為に預り金等の保全措置というものがあるのですが、賃貸だとほぼ無関係だと思ってもらって構いません。

理由として、賃貸だと不動産屋が預かるお金は基本的に無く、借主さんから貸主さんに対して契約金が一括金として支払われるくらいだからです。

保全措置というのも、一般的には売買に対して該当してくる内容となります。

例えば、5000万円の戸建てを建てる為に契約をし、契約当初にハウスメーカーにまず1000万円を支払ったとします。

その後、中間金として追加で1000万円支払い、完成時に残りの3000万円支払う、という流れがあります。

途中でハウスメーカーが潰れると大変なことになるので、その為の「保全措置」ということです。

契約期間及び更新に関する事項

これは文字通り、契約期間がいつからいつまでか、その契約が更新が可能か否か、という内容が書かれています。

普通賃貸借契約であれば、一般的に2年ごとに更新が可能となり、そのたびに更新料がかかったりします。

もしくは、定期借家契約であれば、基本的には記載されている期間満了時に契約が解除される、といった具合です。

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用途その他の利用の制限に関する事項

この項目は、建物や部屋がどのような用途で利用可能か、という内容が書かれています。

例えば、住居としてなのか、事務所としてなのか、店舗としてなのか、ということは建物用途に該当します。

もしくは、ペット飼育可能や楽器不可といったことは部屋に関する使用制限です。

ただ、分譲マンションの場合は少し注意が必要になります。

マンション自体は管理規約というルールによって制限が定められており、管理規約の則った上で各部屋自体も貸主さんが定めるルールがある、ということです。

仮にマンション自体はペットも楽器も可能だが、借りる部屋自体はどちらも不可の場合、自分以外の部屋ではペット飼育や楽器演奏をしていることもあります。

契約終了時の敷金精算に関する事項

ここでは主に敷金の精算方法が書かれています。

原則として敷金は解約時に無利息で返還されるお金ですが、契約当初に敷金から差し引かれる費用が決まっていることも多々見受けられます。

代表例は「退去時のクリーニング費用」です。

また、その他入居中に傷等をつけてしまった場合は+αで費用を負うことになり兼ねないので、綺麗に住むに越したことはありません。

逆をいうと、ここに書いていない費用は負担をする必要もない、と言えるのですが。

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金銭の貸借の斡旋

金銭貸借の斡旋とは、どの銀行からローンを組むか、という内容です。

つまり、賃貸契約でローンを組むことは無いので、賃貸契約だと割愛してもいい項目だと思います。

管理委託先

借りる物件の管理会社がどこなのか、という項目です。

戸建てやアパートのような小規模物件であれば、管理会社はなく貸主さんの自主管理という物件も多いかと思います。

マンションであれば、どこかしらの管理会社が物件を管理していることもよく見受けられます。

ただ、部屋の管理と建物の管理が同じ会社とは限りません。

分譲マンションの場合、基本的に建物の管理は〇〇株式会社が行っており、今回の201号室の管理は△△株式会社(仲介している不動産屋だったりします)が行います、というケースもあります。

そうなると、共用部(エントランスや廊下やエレベーター等)は〇〇株式会社へ問い合わせが必要になりますし、部屋内の不具合等は△△株式会社へ問い合わせが必要になるので、ご注意下さい。

特約事項

特約という言葉の意味は特別な約束・契約というものです。

基本的な約束事は契約書の定型条文に書いてありますが、物件・部屋ごとの決め事は特約として書いていく必要があります。

特約の内容は一概には言えず、一般的な注意事項であったり、ネットやテレビ環境に関することだったり、何かしらの費用に関することだったり、周辺環境のことだったり、告知事項だったり、と様々です。

契約書類に慣れてくると、全体にさっと目を通して特約を重点的に確認する、という方も多いのではないでしょうか。

注意するべき3つのポイント

ざっと内容のご説明を書いていきましたが、ここでは特に注意して確認したほうがいい3つのポイントを書いていきます。

賃貸条件や費用

賃貸条件や費用は契約にあたって肝になる部分だと思います。

ここに誤りがあると支払う賃料なども変わってきてしまうので、まずは確認した方がいい項目かと思います。

ただ、そうそう間違っていることもないとは思いますが。

解約や敷金精算にかかわる内容

退去時の費用にまつわる項目なので、とても大事な内容だと思います。

敷金からどのような費用が差し引かれる可能性があるのか、契約時の確認は必須です。

基本的には差し引きでの精算となるケースが多いですが、償却や敷引きといって敷金は返還しません、という仕組みもあったりしますので。

特約事項

個人的には特約を読んでおけば、それ以外は読まなくてもいいくらい特約は重要だと思っています。
(もちろん、他の項目も読んだ方がいいです)

先で述べた通り、特約には物件ごとの決まり事が書かれています。

一般的な内容はどの物件でも変わらないので、特約に全てが凝縮されているといっても過言ではありません。

特約がほとんどないケースも見受けられますが、そうすると普通に住んでいれば揉めることはない、という解釈もできますので。

不動産屋に行かなくても重要事項説明ができる!

余談ですが、ここ数年で「IT重説」という言葉をよく耳にするようになりました。

「IT重説」とはオンラインでの重要事項説明を指し、要はテレビ電話(ZOOMやMEET等)で重要事項説明を行うということです。

もちろん、重説だけではなく、その他契約書の説明等もあわせて行う為、不動産屋に足を運ばなくても契約手続きができてしまいます。
(事前に契約書類を送っておく必要はあります)

その他、内見もオンラインでできてしまうので、内見~契約まで自宅に居たままでできてしまう世の中になってきました。

地方からの転勤や就学の方にはとても便利な機能ですよね。

その内、営業マン自体がいらなくなるのでは、と危惧していますが。

まとめ

  • 重要事項説明書は文字通り重要です
  • その中でも特約は特に重要です
  • IT重説も便利です

不動産屋によくあることですが、業者からすると重説は何回も読んでいる書類なので、書いてあることを淡々と読みがちです。

ただ、お客さんからすると専門用語ばかりの呪文書みたいなものだと思います。

私が読むときに心がけていることは、専門用語があっても分かるような読み方・説明の仕方をする、ということです。

分からない言葉があった際には、その都度質問をした方がいいとは思います。

 

 

それでは。

 

 

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