賃貸物件を探す際、「おとり物件」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回は余談として、おとり物件に関することを書いていきます。
こんな方にオススメ
- おとり物件がどういった物件か分からない
- おとり物件に引っかかったことがある
- 気に入った物件があるが、不安なことがあり決めきれない
是非とも、ご参考にして頂けると幸いです。
おとり物件とは?
賃貸不動産業界における「おとり物件」とは、その名の通りその物件をおとりにしてお客様を呼び込み、別の物件を紹介する為のエサとなる物件を指します。
一般の方ではなかなか判別がつきづらい物件も多いかと思います。
同業者であれば何となく怪しさを感じることもできますし、かなりの確率で見破ることもできるのではないでしょうか。
なぜ、おとり物件が存在するのか
おとり物件を掲載する理由はいくつかあると思いますが、おおよそ次の2点だと思います。
- 自社の募集物件が少ない
- 単純に反響を増やす為
例えば、ある不動産屋のホームページを見た際に、10件しか物件情報の掲載がない不動産屋と、100件の物件情報が掲載されている不動産屋では、どちらの不動産屋へ問い合わせをしようと思いますか?
恐らく、大半の方は後者(100件掲載)を選ばれるのではないでしょうか。
数多くの物件情報があれば、何かしら条件の良い物件があるかも、と思ってしまいます。
不動産屋側からしても、多くの物件が掲載されていれば、その分反響(問い合わせ)も多くなる確率が高くなります。
お客様を「釣る」という意図で、おとり物件を掲載する不動産屋が多々見受けられます。
おとり物件自体は法律で禁止されているものの、全てを取り締まることは難しく、グレーなやり方もはびこっているのが現状だと思います。
見抜く為の5つのポイント
実際に私が行っている方法を含め、みなさんでも可能なおとり物件を見抜く方法を5つご紹介致します。
100%見抜けます、とは言い切れないものの、ある程度のおとり物件は見抜けると思います。
賃料が安すぎないか
他の物件と比べて、安すぎる物件は要注意です。
どのエリアにも相場というものがあり、一定の条件下で検索した物件はだいたい同じような賃料になっています。
その中で賃料が異様に安い物件があれば、まずはお気に入り登録や問い合わせをしてしまうのも無理はありません。
もちろん、実際に魅力的な賃料設定にして早く入居者を入れたい、という思惑の物件もあるかもしれません。
ただ、相場が形成されているからこそ、基本的に同条件の物件の中で賃料差はそうそう出ない、ということも頭に入れておくといいでしょう。
安さの理由として、事故物件だったり、定期借家物件という居住可能期間が限定された物件等が考えられます。
何事にも言えることですが、おいしい話はそうそう転がっていないものです。
同じ物件が複数社で掲載されていないか
物件探しをしていると、同じ部屋がいくつもの会社で募集されているケースがよく見受けられます。
例えば、次のような光景です。
- 「Aマンション」募集会社:〇〇不動産
- 「Aマンション」募集会社:□□不動産
- 「Aマンション」募集会社:△△不動産
上記だと、どの会社へ問い合わせればよいのか分からなくなりますし、その状態を疑問に思う方も多いでしょう。
この現象が起こる理由として、基本的にはおおもとの募集会社(仮に〇〇不動産)があり、その募集会社が物件情報の転載を許可している、ということが挙げられます。
(※もしくは、オーナーさんが複数社に並行して募集依頼を行っているケースもあります)
そうすると、他社(□□不動産と△△不動産)は何の苦労もをせずに物件情報を掲載できますし、おおもとの募集会社も情報拡散が自然とできて問い合わせ増加につながる為、ウィンウィンな関係が生まれます。
実際におおもとの募集会社の物件情報が募集中であれば、□□不動産に問い合わせをしたとしても、Aマンションは案内が可能なので問題はありません。
ただ、Aマンションの募集が終了し、おおもとの募集会社が物件情報を削除しても、△△不動産がAマンションの募集情報を掲載していた場合はおとり物件になり得ます。
さすがに、情報にもタイムラグがあるので、同タイミングでAマンションの情報を削除することは不可能に近いですが、意図的にAマンションの情報を掲載し続けている不動産屋は気を付けた方がいいでしょう。
募集情報が転載可能な物件の特徴の一つとして、大手募集会社の一棟物件が比較的多く見受けられます。
その場合、物件名を検索すると「〇〇不動産の高級賃貸マンション~」というようにおおもとの募集会社が分かったりもします。
おおもとを知った上で、どの情報が転載か照らし合わせてみるのもいいかもしれません。
内見ができる部屋か
効果的な方法として、興味のある物件を掲載している不動産屋へ問い合わせ、「内見(物件見学)ができるか」を聞いてみるといいでしょう。
実際に内見が可能であれば、実際に募集されている物件、ということがほぼ証明されます。
(募集されていなければ、部屋の鍵の手配等もできませんので)
ただ、募集中であっても既に申込が入っているケースもあるので、事前に申込の有無は確認した方がいいと思います。
また、問い合わせをした際、「まずは一度不動産屋までお越し下さい」的な言葉で来店を促されたら要注意かもしれません。
おとり物件に問い合わせたお客様に対して、まずは来店をしてもらい、その際に「ついさっき無くなってしまいました」といった謳い文句で、おとり物件を無くなったことにしてた物件を紹介する可能性もあるからです。
今のご時世、来店をせずともいくらでも物件の紹介は可能だと思いますので、できる限りやり取りを最小限にした方がお互いの手間も省けると思います。
ちなみに、1~3月頃の繁忙期は、ほんの数時間や数分の間に検討物件へ申込が入ってしまうケースも実際に見受けられます。
個人的なイメージですが、物件探しはネットオークションのようなもので、先に落札(申込)した人のものになってしまうのは当然で、自分がいいなと思っている物件はほ他の人もいいなと思っている可能性がある、ということです。
結局のところ、「タイミング」と「フィーリング」がとても大切だと思います。
掲載期間が長くないか
物件探しをしていて、「この物件、いつも出てくるな」と思ったら少し注意が必要かもしれません。
先ほどの「同じ物件が複数社で~」の内容と一部重複しますが、おおもとの募集情報が無くなっても、そのまま転載情報が掲載し続けている場合があります。
もちろん、その他の理由で長期的に募集情報が掲載されている場合もあります。
そのように実際は無い物件の情報が掲載され続けている可能性もありますし、ただ単に物件に魅力が無く決まらない物件かもしれません。
もしくは、退去予定の物件情報として空室になる1~2か月前程から掲載しているものもあり、内見が出来ないがゆえに決まっていないだけかもしれません。
ただ、基本的に良い物件ほど早く決まってしまうものです。
信頼できる不動産屋(同業者)に確認を依頼する
頼れる不動産屋がいる場合、その人に気になる物件情報を確認してもらうのもいいと思います。
同業者であれば、確認方法もある程度分かっていますし、同業者に対して嘘の情報を伝える不動産屋はそうそういません。
例えば、私が転載物件であるAマンションの情報を、転載している不動産屋に確認した場合、「転載物件です」と正直に教えてくれます。
(※厳密に言うと、転載物件という言い方はしないですが)
実際に私自身も、お客様から気になっている物件のURL等を複数送って頂き、全て確認した後に諸々の募集状況をお伝えする、といったこともしています。
不動産屋を利用するようで気が引ける、という優しいお考えを持たれる方もいるかもしれませんが、私にとって確認作業自体は苦にならないですし仕事の一部です。
逆にお客様の好みや傾向が分かってくるので、物件検索の際に役立ったりもします。
親身になって探してくれる不動産屋を見つけるといいでしょう。
まとめ
おとり物件を見抜く為の行動をしましょう。
不動産屋に頼るのが一番手っ取り早いと思います。
そこまで悪質なおとり物件がはびこっている訳でもないので、余計な手間がかからないように注意する、くらいの気持ちでもいいかもしれません。
みなさんそれぞれの納得のいく物件が見つかりますように。
それでは。
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